キャビヤっていくら?
「いくら」というのは、値段のことではない。ここでいうのはサケの卵のことです。
いま読んでいる『食味風々録・阿川弘之著』のなかで、昔ロシアがソビエト連邦だったころ、赤い広場のそばの共産圏最大の百貨店グアで土産にキャビアを買おうと探し回ったそうだ。ジャムやピクルスの瓶の前で「キャビヤ、キャビヤ」と連呼したら、太ったおばさん店員にそれは「いくら」のことと教えてもらったそうだ。
「いくら」は元々ロシア語で「魚卵」のことで、サケ、マス以外の卵も「いくら」で、当然チョウザメの魚卵も「いくら」となる。でも「いくら」を私は日本語だと思っていた。
そのキャビヤの缶詰をお土産で貰ったことがある。時期は秋、旬のマッタケを、しかも外国産を安く買い入れて、焼きマッタケにしてその上にキャビヤを乗せて酒のつまみにした。
「なんという豪華な」と、眺めていればよかった。食べてみると、キャビヤは塩がきつくって美味くなく、しかもマッタケは香り抜きで歯ごたえだけ。
「アハハハハ~、貧乏人の考えそうなことだわ」と友人に笑われた。
そのキャビヤが近い将来絶滅すると警告している。1991年ソ連邦が崩壊して、チョウザメの宝庫カスピ海が以前から管理していたロシア連邦、イランに加え、カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンが加わり管理能力が弱まり、乱獲が進み、加えてカスピ海での石油開発の進展や原因不明のカスピ海の水量増大により、汚染が拡大。
いま国連の「絶滅の恐れのある野生動物植物の種の国際取引に関する条例(CITES)」(ワシントン条約:1種)により保護されることになった。(K-GLOBAL翻訳サービスホームパージより)
いまなら、塩辛くても我慢して、もう二度と口にできないかも知れないキャビアを食べたい。
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