昭和20年ごろ ゴムカン
ゴムカンとは、木の枝が枝分かれしているところを使って、ゴムで石を飛ばすパチンコのことである。昔は 駄菓子屋、文房具屋でも売っていたが、みんな木の枝で作っていた。ゴムは自転車のチューブなんかを使っていた。
最初のうちは空き缶を狙い撃ちしていたが、そのうちに動くものを撃つようになる。
標的にされたほうはいい迷惑である。その対象がイヌやネコで、ハト、カラスも狙われた。
次に狙われるのはもう少し遠くの小さなものということで、スズメが狙われる。それも屋根棟に止まっているものだ。
みんなでワイワイと屋根棟をめがけて打っているが、なかなか屋根棟までは届かない。大きいお兄ちゃんのは、ゴムを何本も使っているからよく飛んだ。私らのはほとんど屋根瓦をカラカラいいながら落ちてきた。![]()
そこへいきなりお向かいの加藤のおやじさんが来て、ゴムカンをやっていた子供の頭にゲンコツを一発ずつ見舞っていった。わけも分からないうちに喰らったゲンコツは痛かった。
夕食時にオヤジが、「ゴムカンの石が加藤のオヤジさんのはげ頭に当たり、コブを作っていた」と、ケラケラと笑った。
でも私は面白くなかった。だって私のは絶対に屋根を越せなかったからさ。
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