昭和20年代の朝食風景
夕べ蚊帳の中に蛍を放し、枕投げをやった従兄弟達が起きてくる。井戸の周りで冷たい水で顔を洗う。台所ではクドに火が入り煙い。
おじいさんの読経が始まると、全員集合である。お経の分かっている所だけでも、おきな声でお経をあげた。無駄口をいうと「コラ~ッ」と叱られる。
朝食は台所にあるススぶけて真っ黒な戸棚から、自分の箱膳を持ってきて座る。真ん中にオバサンがおひつに入れたご飯と、みそ汁の入っ
た鍋を持ってきた。全員がおじいさんの号令で「いただきま~す」と大声を上げる。
食べ終わると茶碗や箸はお茶で洗い、また箱膳の中に入れて戸棚に戻す。このころは食糧難で、なにを食べてもうまかったし、ダシを取った煮干など何でも食べさせられた。
町でのおやつは、いつもイモをふかしたものでした。でもここはウリやスイカが出てくる。とっても嬉しかった。
夏休みに母親の在所にやってきていた従兄弟達が、一人二人と帰っていく。もう夏休みも終わる。楽しかったザリガニ捕り、小川のかい掘りでの魚とりの思い出が、みんなの宿題の絵日記になるだろう。
田んぼの向こうを電車がカタコトと走り去っていく。空には大きな入道雲が背伸びをしている。
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