昭和20年代のおれ達の遊び 度が過ぎた遊び 生類憐れみの罰
戦後間もなく我が家の裏のある地主の空き地に、公民館ができた。どこかの廃屋を解体して、おやじ達が建てたらしい。どう見てもバラックで、壁はヒビだらけで所々穴があいている。
ここでは大人は新年会、忘年会や月例会を絶えずやっていた。子供は子供会の人形劇の練習や紙芝居やゲームをよくやってくれていた。近所のお兄ちゃんが、ハーモニカやアコーディオンの演奏もやってくれた。使い込んで月日が経つと、一時的に壁を塗ったが、だんだん落ちきた。
ここを根城にしていつも遊んでいた私らは、なにを思ったか、日頃の悪遊びを悔いたのか、壁を塗りなおそうということになった。
庭から土を持ってきて、泥をこねて、手で埋め込む。その時になって誰がいったのか知らんが、ここにトカゲを埋め込もうということになった。まるっきり埋め込むのでなく、息ができるように顔を出てやった。
戦後のここらは、石垣の中や近くの西洋館が爆撃で崩れ落ちていて、その中にはヘビや
トカゲはいくらでもいた。それをバケツに捕まえてきて、泥団子の中にトカゲを埋め込んでいった。
出来上がった壁は、壮観であった。塗り込められた壁から、何十匹のトカゲが恨めしそうに舌を出してこちらを眺めている。これをそのままにしておくのはもったいない。これで誰かを脅かそうということになった。当然近所の女の子が犠牲になった。思いっきり叫ぶ「ぎゃーっ」の悲鳴がおかしくて、何人も女の子が犠牲になった。そのうちに誰かが私のお袋に告げ口したらしく、思いっきりゲンコツを見舞った。
「生類憐れみ」の教えを受けた覚えはないが、罰を受けた。痛かった~ッ。
でも御心配なく、もちろんトカゲは泥を洗い落とされ放免された。
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