昭和20年代のおれ達の遊び 名前の分からない縁日のおもちゃ
これから秋の祭りがある。
神社や寺の祭礼には、多くの屋台や見世物小屋が立ち並ぶ。これが楽しくって嬉しくってねェ。ワクワクしていた。
縁日ではいろんなおもちゃが売られている。この中でどうにも名前の思いだせない物がある。
昭和4年ごろ島津製作所が開発した国産第一号のレントゲン「比叡号」を、個人病院で始めて導入した。その病院が近所にあった。
そんなころ、もうX線という言葉があったから、ヒョットして「骨が見えるから」という理由で名前ももしかして、と思うのだが。
このメガネの構造は簡単で、万華鏡のような筒で、接眼するのぞき部分の中のガラスに、鳥の羽を挟んであったか接着してあったか記憶がないが、それを透して見る。目の前に差し出した自分の手の画像が、二重に見えるから、まるで骨が見えるようだった。我慢できずにバラシてしまったら、元通りにならなくなった。我が家で飼っているセキセイインコの羽で覗いてみたら、その頃と同じ様に骨が見えた。いま赤い羽根をやっているから、この羽根から自分の手をのぞいてご覧、骨が見えるから。
もうひとつ、縁日の中でいい口笛を鳴らしている。ナンダナンダと、吸い寄せられる。上手なメロディーを鳴らして、客を呼び寄せる。
口の中に入っている笛が、実にいい音を出している。鳥の鳴き声も出していた。これが欲しくてねぇ。ずいぶんねだったことを思い出す。さてこの名前も思い出せない。
舌の上に乗せて、上あごに挟むようにして息を吹くと音が出る。これが小さくて1センチにも満たない笛なので、すぐにどこかに行ってしまう。ポケットの片隅にでも入ろうものなら、もう発見不可能なぐらい小さかった。あのころは自分の机とか引き出しなんていうものはなかったから、なくなってしまう。
誰か名前を知りませんかねェ。
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