狩猟民族から蝦夷シカの肉を拝領する
近所に住む狩猟民族から、蝦夷シカを800gも拝領した。なんでも北海道の友人の狩猟家から送られてきたというので、そのお裾分けを頂いた。それがなんと800gである。すでに解凍してあるからなにがなんでも今日中に料理をしなければならない。俺には自信がない。絶対に、でも人にはやりたくはない。
こんな時に限って、家内は仕事でいない。今日はAM8時出勤のPM9時まで仕事だ。仕方がないので、私が料理をすることになった。
狩猟民族の奥方からレシピを書いてもらったが、なんてったって味音痴のわたしだ。何ができるか分かったものではない。
レシピにはこう書いてある。
- 湯がいているとアクが出るから捨てろ。
- 茹でたら角切りにしろ。
- ニンニク、タマネギ、ジャガイモを大きく切れ。
- ショウガを入れろ。
- 味噌で味付けしな。
- 酒又はワインを入れると美味しいぞ。
以上である。なんという恐ろしいぞんざいな狩猟民族のレシピだ!従うしかない。相手は鉄砲を持っている。
それと味噌で味付けというのは、さばの味噌に風か?味噌汁風か?これだけで悩んだ。
備蓄の野菜を点検する。タマネギ、ニンニク、ショウガがない。さっそくスーパーでこれらを555円で買い付けた。
テレビを見ながら、焼酎を飲みながらまな板を食卓に持ち込み、野菜を広げた。タマネギ1個、ニンニク5片、ショウガ半分、ジャイモ2個を大きく刻んだ。
肉を取り出すと冷凍が溶けて血が滴り落ちてきた。これを少し洗ってから、鍋に入れて火を掛ける。野菜を刻んだ物を別の鍋に入れて火に掛けた。肉と野菜の同時進行である。こんなの初めてだ。忙しい。
肉はものすごいアクを出してきた。丹念にすくって捨てる作業が続く。自慢の腰痛がうずきかけたので、コルセットをする。アクを十分すくったころ、隣の鍋の野菜がクツクツといい音を出しかけたので、味噌を取り出して、テレビで見たイノシシ鍋を思い出した。そこで幾分味噌汁より多めに入れた。
ここからだ、酒は新潟の兄貴から送られてきた「雪中梅」があったはずだと捜したがない。どうも家内が飲んでしまったか、隠したらしい。それではと、味醂を取り出して適当に入れる。ワインなんてあったかな?アッチコッチを捜したら白ワインの残りが出てきたので、180ccほどを残らず投入した。
アクを取った肉を取り出して、アッチチアッチチと言いながら、まな板で角切りにする。なにか指を切りそうな筋が潜んでいる。指に気をつけながらなんとか切断を完了して、肉を野菜の鍋に投入する。ヤレヤレ・・・これで完了した。
味を見るが、私の舌は自慢じゃないが、鈍足ランナーの足以下である。ですからそうとうに悪い。少し味醂が多すぎたかなァ、ま~っ、いいかァ。これで煮込んで出来上がりだ。食べるのは私だ。文句あるか?と誰もいない家のなかで叫んだ。鍋からはいい匂いが流れてきた。
さっそく食卓へ出す。少しフチの欠けた器に入れる。まず一口焼酎を含んで口をすすぐ。清めの儀式が済んだので、いよいよ口に運ぶ。肉が硬い、筋が固い、顎が痛い。野菜はいい具合に煮込まれて、肉は野生の臭みがすこしあるが硬い。蝦夷ジカの最後の抵抗なんだろうか。しかし硬い。
ざま~みろ!美味かったぜ。味音痴な私が言うから間違いないのだ。まだ残っているから、まだ三日は食べられる。またあ、し、た。
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