新潟の田舎ドジョウの思い出
私の家内は新潟の直江津出身、今の上越市である。子供が小さかったころはよく出掛けた。当時は高速道路も完備していなっくて、国道をただひたすら車で移動した。いつもは深夜に出発して、朝方着くという方法で古里を訪問していた。
いつもは北陸から親不知を通り、糸魚川を経て能生というところに着く。ここがちょうど夜が明けて、仮眠をするにちょうどいい駐車場があった。夜が明けると、ここの駐車場の周りは「カニ屋」の屋台がビシッと20軒ほど軒を並べている。
この一番北側の「快富丸」という店が、義兄の友人で、いつもここで「ベニズワイ」を10匹買う。そうすると、おまけが3~5匹つく。これで夏休み中のツマミに困らないからである。ただね、カニの重さを手で量って買うとおまけがない。なぜかいというと、向こう任せだと、身の少ないのも入れる分、おまけをするというコスイことをするからだ。
ベニズワイはズワイガニと同じ形をしているが、身が細いのと、年中捕獲できる。これは身は少ないがツユが旨い。それでいてものすごく安い。1匹600~1000円で買えるからである。だから多少身が少なくても、モサモサと食べられれば、何の不満も起きない。
実家に着くと朝から義兄が冷酒を出す。カニが出る。そしてもう一品、ドジョウが出てくる。結婚した当時、「オイ、トジョウは食べられるか」と兄貴が聞いたので、「泥臭い物でも何でも、雑食性ですから」といったのが始まりだった。以来私が訪問する時は決まって、「トジョウ汁」「ドジョウの煮付け」「鯉こく」「鯉の煮付け」がドンドン出てきた。
このドジョウが町の養殖ドジョウと違って、田舎の図太い「田舎ドジョ
ウ」であった。兄貴が勤めの行きに仕掛けたウケを帰りに上げて捕った天然の物だ。その太さも親指ほどのドジョウが、茶碗に頭とシッポを乗せて、横着な格好で登場してきた。それもものすごい数だったから、汁はほとんどドジョウが飲んじゃって、ドジョウの煮付けになっていた。こんなのをモサモサと3泊する間食べ続けた。
寝るとね、目の前にドジョウが泳いでいたことがあった。帰りにはド
ジョウの開きを持って帰ったことがあった。
実家の裏はもう砂浜で、海に続いていた。ここに釣竿を3本も持ち込んで、投げ込んでおく。そして息子と泳いでいるうちに、キスがゾロゾロと釣れる。それも結構いい形だった。
その古里も両親が亡くなり、行く機会もなくなってしまった。葬儀の時に見た裏の海岸は、冬の荒波で海岸が浸食されるのを防ぐために沖にテトラポッドが入り、そこに漁船が停留されて、あれほど澄んでいた海は濁っていた。
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