300年前の元禄の経済危機
貧窮無類の元禄時代
この時代は華やかさと貧しさが奇妙に同居していた。『元禄お畳奉行の日記』神坂次郎著より
元禄八年(1695)財政難に悩む幕府が発令した、「お勝手不如意につき節減令」がでた。この時代は、元の字(元禄)金銀貨改悪、それに加えて台風、洪水、相次ぐ天変地変、冷害、凶作、米価高騰、米外の商品の暴騰が怒涛のように諸国を襲い、軽輩微禄の武士や多くの庶民、なかでも農民たちの困窮は頂点に達した。
関東地区の地震を調べると、1600年から1650年にかけてマグニチュード7が2回、小さなのが8回検索できた。ちょうど活動期に当たっていた。http://www2s.biglobe.ne.jp/~aaihara/kantou.htm
では簡単に、この節減令を訳してみた。(古文に、うとい私の訳だ。辞書片手にやっと読めた。原文の掲載は控えるからね。後で文句が出るといけないからさァ、アハッ!)
- 禄高のよらず、召使を減らすよう。江戸詰めのものは1~2人、あるいは3~4人と、石高から人数を細かく指示を出ている。
- 召使の女に内証で多く米を支給することは良くない。今後は十分努力するように。(アリャ、こんな指示も出ている)
- 馬の使用に付いて、500石以内のものは歩け、借り馬はけしからん。老人や病人は届けをして断ってから、駕籠にするように。
- 衣類の件。身分の低い者は、国においては、木綿、紙で作った衣類(紙子)、自分で作ったものを着用し、全て有り合わせとする。羽織でも古くて紋のないものは、届けてから着用するように。手代足軽召使はもっと軽く古いものを使うこと。これに背くことは主人の不注意である。厳しく守るように。(手代足軽召使とは扱いも悪いなァ)
- 家屋の新築や改造の件。奉行所に届けてから指示に従うように。少しでも良く見えたり目立つことのないように。畳も安いものを使い、破損しているところは修理して使うこと。住居内の茶室や庭を作り、自然を楽しむような、また舟遊びなど鳴物遊興の浪費はしてはいけない。
- 婚儀の嫁入り道具は軽くすること。身分に応じてとりあえず、今必要なものを奉行に届けてから指示を仰ぐように。
- 振舞の件。禁止する。どうしてもしなければならない時は、一汁一茶とすること。この支度で魚鳥などは有り合わせでも出してはならない。酒は三度に限る。飲み会はしてはならない。いつも会合する場合は、麺類、菓子、酒であっても出してはならない。むろん内証でうまいものを食べてはいけない。(オイ!酒の分量まで決めているのか)
- 贈答の件。節約令が出ているので、親子以外は近親であっても祝儀のやり取りは禁止する。手作りのものを送る場合は、親兄弟、祖父母、孫には少しならいいがそれ以外は禁止する。神仏への寄進も今後は軽くするように。
- 子供らの習い事の件。踊り、楽器や衣装に浪費をしないように。武士は武道をうとんじることのないように。
これを読んで、いかに財政が逼迫していたか。それに必死になって戦っている。その割には、尾張という国は能天気で、文左衛門大いに殺生するは、飲み食いしている。
節減令の裏で、悪い者もいる。奉行所から節約を守られているか、柿羽織を着た「御節約令御見廻りの足軽」がいた。これらが「ご禁制の品、まことに不行き届きである」「お改めであるぞ」といって、小間物屋、商店、蔵まで入り込んで巻き上げている。藩士の妻や娘の持ち物まで検査して、帯をゆるめたりと、手心は加えられなかったという。
さて平成21年の麻生内閣、100年の経済危機と言っているが、一向に進展しない国会。与党も野党も危機管理がまったくなっていない。国民不在で政党間の力学で動いているように思う。国民不在である。
国会に、柿羽織を着た刺客を送ったろかしゃん。
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