子供の「なぜ?」「なにこれ?」は、好奇心を育てる
「なぜ?」「どうして?」「なァに?」「なんで?」という質問を「根問い」という。恥ずかしい話が、私は「根問い」という言葉を知らなかった。
昨日の中日新聞の「中日春秋」のコラムで、いまNHKの土曜のドラマで、白州次郎が評判になっている。戦後GHQとの交渉中で疑問にぶつかると、「なぜ=ホワィ?」を連発して、相手を攻め立てたというところから、「ミスター・ホワィ」と呼ばれていたらしい。
私に長男を授かったのが38歳のときである。子育ても、38歳という大人の目で、ゆっくりと育てることができたと思っている。子供を好奇心の強い子にしようと心掛けた。それには、いつも「なぜ?」という気持ちを付けさせたかった。
息子が幼稚園の年中のときだった。一宮から名古屋のオバちゃんの桜山まで歩いていこうということになった。片道30kmである。
退屈させないように、あらゆる物に「なぜ?」と話しかけて根気よく答えて歩いた。
だから歩くスピードがものすごくゆっくりだ。10km進むのに4時間掛かった。道路の白線の意味、道路に埋設されているガス、水道の鉄のフタ、これをそっと開けて見る。
電柱のトランス、鉄塔、電車、車、倉庫の看板、カラスの鳴き声と目に付く物あらゆるものに興味を持ったし持たせた。だから答える方も大変だ。分からないところがあるとメモをして後で一緒になって調べた。
夕方、ゴールの桜山に着いた。子供の顔に何かをやり遂げたという自信に溢れていた。私にとっては、好奇心よりこの30km踏破の方がうれしかった。
子供の頃に養われた息子の好奇心は、26歳の社会人になった今も、鋭い質問が私を襲うからたじろいでいる。育て方を間違えたか、今ごろ往生している。
情報工学で学士になり、電気電子工学で修士をとって卒業した。だからパソコンは全て息子任せ。パソコンに行き詰ると、今度は私が「なんで?」とつぶやいている。そこへ息子が来て、「なぜ分からんの?」とくる。育て方を間違えた。思いやりを込めて教えることを忘れていた。
でも「ホワィ」のおかげで、好奇心は育った。
修士を取ってから就職をした。でも追いかけたい研究を一人続けて、8年かかって論文博士(工学)を取った。
でもワシは孫が欲しい。
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