「御御御付」というバカ丁寧語
本来は「付け」で済んでいたのに、どなたかが丁寧語の「お」を付けた。それが始まりで、「お付け」が当たり前になり、これにまた丁寧語の「御」を付けた。これからややこしくなってきた。
広辞苑で「御御(おみ)」を調べると、まだあった。
- 御御(おみ)=「オホミ(大御)の約」尊敬・丁寧の意を表す。
- 御御灯台(おみあかし)=灯台の丁寧語
- 御御御灯台(おおみあかし)=〃
- 御御足(おみあし)=他人の足の尊敬語。ワシの鈍足では、御御足とは言ってくれないわなァ。
- 御神酒・御御酒(おみき)=神前に供える酒
- 御神籤・御御籤(おみくじ)=神仏に祈願して、事の吉凶を占うくじ。
なるほど、けっこうあるもんだなァ。こうなると「お付け」に「御御」がいきなりくっ付いて「御御御付け」になったとも考えられる。
これはいつごろから始まったんだろう。『嬉遊笑覧』喜多村筠庭著の中に、『女重宝記』元禄5年(1692)に記述を紹介している。
---「いもの茎あずきの汁はふおつけ」とあるーーー
ここには「お付け」と出ている。
もう一つ、『籠耳双紙』貞亨(1684~87)に
--ー「侍などの詞(ことば)聞きにくきは、ひだるきをひもじ。かみをかもじ。汁をおつけ。強飯(こわめし)をおこわ。あえものをよごし。豆粉をきなこという類いか程も有るべし」といへり。げに、鬚男(ひげおとこ)の口からはめめしくて、似合しからねど、今はならひて常となりぬれば、聞き苦しくもあらぬやう也ーーー
とある。この後320年の間に「御御」がくっ付いた。160年に一個付くことになる。
またどこかのテレビの料理番組で、バカな先生が、「おニンジン」「おキャベツ」「おイモ」「おキュウリ」とか言っているうちに、御御御御御付にならんとも限らん。国語審議会に「御」禁止令を御願いしたくなる。
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