通帳と印鑑を拾っても、5~20%の「報労金」は出ない?
こんなニュースが流れた。
1700万円の入った通帳と印鑑を拾った。善意の拾得者は当然警察に届ける。拾い主は5~20%の「報労金」を受け取る権利がある。ここで通帳とは、現金と違うから問題が起きる。
- 落とし主は銀行へ届けて、無効にすることができるから、払わなくてもいいと主張。
- 拾い主は、印鑑があるから悪くいえば引き落とせると主張。
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/fuji-320091020205/1.htm
そして15%の「報労金」255万円を要求する訴訟を起こした。
以前似たような話を警察で聞いた。
どういう訳か、私は拾い物をよくする。
あれはいつころだっただろう。私がトヨタカローラ愛豊のセールスマンをやっていて、担当地区が稲沢市でしたから、昭和43年ごろだと思う。でも日にちだけはよく覚えている。12月25日の夜の8時すぎだった。サンプルカーをお客さんに見せての帰り道、目の前を電器店の小型トラックが走っていた。荷台には商品の入ったダンボール箱が積んであった。
路面が悪くカタンと揺れたその時、荷台から何かが飛び出したように見えた。気のせいかもしれないと思ったが、念のため前の車のナンバーと看板の社名と電話番号をメモして引き返した。
気のせいでなく、チャックで三方開きの黒い鞄が側溝に落ちていた。中身を確かめずにすぐに電器店のトラックを追いかけたが、国道の信号でどちらに走っていたのか分からず、やむを得ずいったんは会社に帰ることにした。
中身を調べてびっくりした。大量の伝票と領収書の中から小切手や現金で合計43万円ほど出てきた。車と電器製品は世の中で大変もてはやされていた頃でしたから、集金額も桁外れだった。当時3~4万の給料で、カローラが50万円そこそこでしたから、猫に小判、猫にまたたび、お女郎に小判(?)まァいいやそんなこと、大金なんですねェ。(早く届けないと・・・・)
早速警察に届けに行った。
1円が何個、5円が何個・・・・、1万円何枚(ウン?そのころ万円札ってあったかなァ)、小切手の額面がいくら・・・・と事細かく取得物明細書が書かれて行った。そして取得物預かり書が渡された。落とし主が6カ月以内に出頭しない時は、取得物は私の物になるウンヌンとある。(6カ月か・・・・そうかそうか、ムフフ。※いまは3ヶ月です)
担当官が言った。
「マスコミに知らせていいですか」
「えェいいですよ。私は営業マンですからPRになるわァ」
落とし主にはすぐに連絡が取れ、間もなく私と同年輩の男性が妻子を連れてやってきた。礼金を受け取って欲しいというが、
「金が欲しけりゃ、金だけ抜いて後は捨てるよ」
と言って断ったが、なんせ大金だからゆえ、警察からくれぐれも礼金を払うように、といわれたという。私もそれではということで預り書と引き換えた。
ところが、マスコミからの連絡を心待ちにしていたのに、とうとうこなかった。翌日出勤すると、
「おォ~ッ!時の人がきたぞ」
と仲間が騒いだ。なんと、毎日新聞の社会面に大きく、
『正直セールスマン現金を拾う』
と書いてあり、一部始終事細かくインタビュー記事となっているではないか。私はインタビューも受けていないのになぜ? と思ったら守衛さんが、
「君が帰った後、新聞社から電話があってさァ、ワシが見聞きした顛末を説明しておいたよ」
という。(なんとまァ)
その新聞のお蔭で、お礼に頂いた15000円は周知の事実となり、仲間の焼肉代とお客さんのコーヒー代になり、ついに足が出てしまった。
おまけの話ですが、届けた時、係員がこんな話を聞かせてくれた。超有名な「トンネルの・・・」の作家、川端康成の何千マン入ったの預金通帳を拾って届けた人がいた。ところがこの作家は礼をするどころか、通帳が欲しかったらあげるよといったという。拾った人は善意なのに。オレならそれ貰ってオークションにかけてやるがなァ。そしてあざけってやるがなァ。
ところが拾って人は前祝を仲間とやったというから気の毒に。やっぱり足が出た。
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