ギフチョウの羽化
今朝7時ごろ揖斐川町の小林さんからギフチョウの羽化が始まったという連絡が来た。さっそく40km先の揖斐川町までマウンテンバイクで走っていた。昨年暮れにブラジルから帰国されたときに、ギフチョウの話を聞き、ぜひ見たいと伝えておいたからだ。
今日は風が強い。風と全面対決しているような向かい風だ。ギッチラコと力いっぱい漕いで3時間かかってしまった。11時半ごろ着くと思うと伝えたのが12時に着いた。私に羽化を見せるために、サナギの入っている発泡スチロールを日なたに出してあったので、もう一斉に羽化が始まっていた。
実はこの人は、ブラジルに移民した姉夫婦と仲がよく、金曜会というのを作って、在ブラジル日本人企業の人や、移民の仲間を集めて飲んでいるという。この方は揖斐町で養豚をやっていて、それに見切りをつけて、アメリカに渡りブラジルで農業をするための資金を作りと、農業の修行をしてブラジルへ渡った。ところがどうもほとんどブラジル全土を放浪しているふうだ。養豚時代に年金をしっかり掛けていたので、年金暮らし。
この時期はギフチョウに合わせて帰国するという。なんともうらやましい生活だ。「もう72歳だ、これから2年ほどは日本にいるよ」と笑う。
庭先の発泡スチロールは三個、日当たりのいいところに出されて、もうそこらじゅうに羽化したギフチョウが羽を休めている。孵ったばかりなので、まだ飛ぶ力がないのだろう。
「飯食べたか」というので、「いや忘れていた」というと、「ありあわせだが」とお盆に飯と味噌汁、味噌煮のホルモン、漬物を出して下さった。これを庭の芝生に座り込んで、食べながら羽化を見ていた。なんとも幸せは雰囲気だ。
上空にヒヨドリが盛んの飛び交う。ギフチョウを狙っている。せっかく飛び立ったのにヒヨドリのエサになっている。少なくとも市町村天然記念物に口を付けるなんて悔しい。
さてこうして放蝶してしまう事はいいが、卵はどう確保するのかと聞くと、なんと庭の片隅
には、カンアオイ(左)が自生している。この葉の裏側に卵を生みつけるという。これがやがて毛虫になり、このカンアオイを食べて生長する。この葉と毛虫を飼育器に入れ、松ぼっくりを入れておくと、やがて松ぼっくりの中でサナギ(右)になる。春になると羽化をする。まるでサナギの団地である。
このカンアオイが環境の変化で自生できなくなっているらしい。ウイッキ
ペデアのよると、ーーーギフチョウは手付かずの原生林ではなく、人間が利用するために適度な下草が保たれる里山に多い。そのためいわゆる保護区では、利用されなくなった落葉広葉樹林の草刈りや枝打ち、落ち葉かきを行って、ギフチョウの生息環境を維持している。ーーー
芝生の上の気温がドンドン高くなるにしたがって、庭中がギフチョウだらけである。感激である。ワシの背中や肩にふんだんに止まる。手足を動かす時に注意しないと踏んづけてしまいそうだ。羽化してすぐにもう交尾を始めている。そんなに急がなくてもいいのに。(一番右の写真)
サナギの期間が10カ月と長く、羽化した姿を見られるのは長くて2週間ほどとわずかだという。それでは交尾を急がないと間に合わない。
ブラジルの姉や義兄の近況を聞きながら、終戦後ブラジルでの「勝ち組み」と「負け組み」の争いが終戦後8年続いていたという。そんな貴重な手紙も読ませてもらった。いい一日であった。
あとはギフチョウの美しい写真をふんだんに見てやって下さい。往復85km、帰り道、なんとまたもや向かい風、そうとうに疲れたギフチョウ見学であった。
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コメント
おっちゃん!
ブラジルの姪婿です。ごぶさたしております。
「ギフチョウの誕生」の心温まるエピソードが、今年ちょうどキリスト教の聖週間にあたる、ジャカレイのお父さんの誕生日に届き、これ以上ないプレゼントになりました。
早速、電話でお伝えし、写真もあわせプリントアウトしてもって行きますね!
投稿: かんべライダー1号 | 2010年4月 1日 (木) 23時59分