読書本より、味のおもしろ話
命より味が大事
開高健のベトナムの奇談を阿川弘之に語っている。
米軍将校と夜間共同作戦中の南ベトナム軍の兵隊が、腰に携帯食料の生きた鶏をぶら下げて行進している。そいつが時々コケッコッコーと鳴き立てる。ベトコンが聞きつけて、闇の中からいつ機銃掃射を浴びせてくるか分からず、危なくてしょうがない。せめて絞め殺して持ち歩いてくれというのに、ベトナム兵がガンとして首を横に振るそうだ。「味が落ちる」と。
味よりコーラン
阿川弘之著『食味風々録』より
いましめの厳しいブルネイでは、牛や羊、鶏の頭を聖地メッカの向けて、アラーの神に祈りを捧げつつ、頚動脈を断ち切る宗教的儀礼を行う。こうして血を出し終わった獣肉だけが回教徒の食べていい獣肉。味のよしあしより、コーランに示された禁忌事項を守るほうが大事なんですねェ。こんな厄介な手間をかけてお払いした牛肉がうまいはずがない。だから現地の日本人なんかはすき焼きを諦めているという。
ブラジルのオイが言う
日本の肉は柔らかすぎてうまくない。ブラジルの肉は歯ごたえがあってうまいという。妹がブラジルに行ったときに食べたら、確かに安いが、アゴが壊れるかと思ったといっていた。味を感じるまでいかなかったらしい。(面白いなァ)
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