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2012年2月 5日 (日)

うわ言男、良介の登場

入院してから、6回目の人事異動ならず、部屋替えである。「俺って嫌われているんだろうか」と思うもほど転室だ。今度は部屋は10階で、北側に窓があり、一宮の北部が一望できる。ありがたやァ。

こうして見ると、一宮はまだ高いビルがないから、木曽川まで見渡せる。その北側には、伊20121_10 吹山の東半分から御岳までの、西濃から東濃までの山々が見渡せる。山はほとんど雪がかぶり見事である。点滴も外れ自由の身だが、なんとなくこの景色がもったいなくてベッドに貼り付けになって、本を読んだり景色を見たりして一日を過ごした。

この日昼寝もせず、昼間や夜の景色を遅くまで見ていたので、この夜は実によく寝られた。

翌日は実にいい天気だった。早朝6:30頃談話室に暖かいお茶くみに行った。そこからは私も毎日ラジオ体操をしていたグランドが丸見えである。しばらく体操仲間の様子を見ていた。帰りにエレベーターホールに行くと、北部が一望できる展望台のようなガラス張りの場所があった。イスに座り熱いお茶を飲んでしばらく眺めていた。

ナースが部屋に来て「この部屋の回りが騒がしければ部屋を替えてもいいですよ」という。騒がしいとは思わず、「ここでいいですよ」と答えた。騒がしいからといって移れば、周りは老人ばかりで誰かが迷惑をすると思った。昨夜はよく寝ていたので、この時は気が付かなかった。

4人部屋で、北東側のカーテンの中は、とても静かである。後で聞くと、軽い脳梗塞で入院したというNさんだ。南東ではタンが絡むのか、時々ゴロゴロとやっているTさん。ナースが来てタンを吸い出している。ナースと別れるときにバイバイとやっているひょうきんな人だ。さて北西の人がこれからの騒動の時の人である。

夜10時過ぎ昼間のナースの言葉がやっと理解できた。猛烈な寝言というかうわ言が始まった。誰かを呼んでいるように、しかもその声は、スターウオーズの壊れたロボットのような雄たけびを上げかけた。それと誰かと争っているような、謝っているような話を延々と始めた。これが終焉したのは、時間はわからないが深夜の定時回診に来たナースの時であった。

隣の部屋が電灯が付いているでナースがのぞいた。私がまだ起きて本を読んでいるのを確認してからしばらくして、うわ言良介(推定75歳)を別の部屋へ移動していった。この人のたどってきた人生をしばらく考えた。会社でパワハラにでも遭って、神経が錯乱状態になったんではないか。色々考えさせられた。

家族は深夜のこの騒音から逃げるために入院させたのだろうか。こういう人は、必ずどこかに胃潰瘍などの内科的傷を持っているだろう。でなければ、消化器系の病棟には入院しないだろう。

頭の芯が覚めてしまい、また本を読む。

そのうわ言は、

  • が~っ!O~I,%#$=$・てO$)&”‘」
  • 「A~,O^~~I」
  • 「おNE&%#*+~!」

まったく意味不明である。廊下を挟んだナースステーションまで聞こえる叫び声だ。よく体力が持つなァ、と思うほど、力が入っている。それも一晩中である。

明け方うわ言良介は、ベッドごと帰ってきた。やっと寝られると思ったのに。もう本格的に起きることにした。談話室へ温かいお茶を汲みに行き、帰ると良介はナースの世話になっていた。しばらくすると心地よいいびきをかいている。(人騒がせな)

不眠症気味のボ~ッした頭で、良介の叫びが突然言葉として聞こえてきた。

  • お~い
  • お~い、たすけて
  • てをあわせて
  • あ~っ、お~い
  • おねがい
  • おねがいします

これって何かを訴えているのではないか?これをノートに書き留めてナースに渡した。その後ナース、介護の人が盛んに出入りしていたのか、だいぶ落ち着いてきた気配がする。

この内に寝ておこう。

ところが昨日までと違い、手法を替えたのか、人の名前を連呼するようになった。それは家族なのかナースなのかは不明である。

ナースに個室をあてがわないと無理だと訴えた。マグカップを持って談話室へ避難する。ここで本を読み終えたので部屋に帰る途中、廊下の向こうから「ヨシコサ~ン」と聞こえてきた。テレビをつけてイヤホーンを良介側に装着して横になり布団をかぶる。深夜トイレに起きたら、良介はベッドごといなかった。さすがに私も、うたたねをしたらしい。まさか深夜の病棟の廊下を、子守唄を歌いながら、ベッドごと散歩に出かけているのだろうか。

朝食時間に良介はベッドごと帰ってきた。どうもナースステーションに入れられていたという話だ。そしてまた引っ越しである。こんどはうわごと良介とは反対側の、ナースステーションを挟んだ棟で声は届かない。入院して12日目、そろそろ社会復帰的な睡眠に戻さねばいかん時期だ。退院まであと少しなような気がする。

午後から同室の軽い脳梗塞のNさんが、うわ言良介は個室に移されるという、しかも市内の別な大きな病院でも騒ぎを起こして、入院ができなくなり、ここに来たらしいという情報も仕入れてきた。彼と私は24日に退院が決まった。

引っ越しをする時に、カーテンの隙間から良介と顔を合わせたら、「あ・り・が・と・う」と、壊れたロボット声で言ったような気がした。私は「ウン?・・・・???????」。ただただ頭を下げて部屋を出た。

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