花見は寺社奉行の出番である

わが町内の神社の裏表の門に、立札警告を表示した。

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「―――花見の宴を行う場合―――

この神社の氏子総代の許可を取ってください。但し、

利用できるのは、当神社の氏子さんに限ります。

―――使用の順守事項―――

カラオケなどの使用は、悪声美声に関わらず、近

隣の民百姓の安眠と平穏を乱すものとして禁止い

たす、この禁を犯したるものは、所払いか島流しを

申し渡すもの也。

寺社奉行　○○隼人守酒乱　連絡先……へ」

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と表示した。なぜこんな花見に水を差すような無粋なことをしたかというと、昨年近所の会社から、花見をしたいからという借り受けの申し出があった。この会社は、氏子さんとして認定されているから、問答無用で「どうぞ」と伝えた。

ところがその後、近所から苦情が出て、夜中の12時過ぎまでカラオケで寝られなかったという。「そうかカラオケとは気が付かなかった」と反省。それで今回の処置に出た。だが近所のこととて、あまりきついことは言えないので、半分は笑いを込めてこんなチラシにした。

この境内では、街路灯で明るいところは、南西の角が一番明るい。具合が悪いことに、そこが一番民家に近い。しかも境内だから野外ステージのように、民家に反響して近隣の町内にも聞こえたらしい。

ひとつ気になることがある。それは飲めば必ず出るものは出る。それが小便である。でもこの神社では暗がりは多少あるが、トイレは相当に離れている。境内にはないから公衆トイレが５００m先にある。だがここは花の客が多いので、ゆっくり行って向こうに着いたら行列だったら大変、ちびってしまう。それではいかんので、近場を探す。そうなると罰当たりなことに、この境内しかない。そう思って自分ならどこで用をたすか探してみた。宴会場から離れていて、暗がりはどこか。

1. 倉庫の裏の狭い場所。横向きに入らなければならない。まず座れない。
2. 玉垣の間、一人横向きで屈んでする。アクロバットのような体形で用を足すと、そこらじゅうが濡れる可能性がある。イヤッ！ビタビタになる。
3. 植え込みの中、隣の人が顔を出したら、飛び上がる。
4. 社は少し高いので、人の目線には触れない。だがチンチンが曲がる。？女は……？
5. 杉の木の天辺に居住しているカラスの巣の中へ。カラスがいるとひと騒動。木から落ちる。

これを悩んでか、今年は申し込みがなかった。宴会をやっている人らが相当に困ったんだろうと推測される。神社の境内の中のアッチコッチに、小便禁止の「鳥居マーク」を掲げておくか。神社なのに。