ピーコ四世 セキセイインコ飼育記
おれ、ピーコ四世だ。よ・ろ・し・く。
生まれて間もないころ、どこででも寝た。タオルグルグル巻きでも寝た。
いまは握手をするし、食事になると、ピーコのではなく、私たちが食べる時間になると巣箱にぶら下げてある鈴を鳴らしてから巣箱にお帰えりになる。
夜は至って人間の生活する時間は大方起きている。でもおとなしいなァ、と見てみるとうたた寝をしている。椅子の背もたれ、肩の上、巣箱の上、キッチンテーブルの下。意外と下を走っているので気を付けないと踏んづけてしまいそう。
体温は41度、一度羽の下に体温計を入れてやって測ったら、喰いつかれた。ピーコ一世はよく童謡を歌い、よくしゃべった。ピーコ二世は童謡を歌った。とにかくよく床の上を走っていた。ピーコ三世は私の懐が好きで、いつも懐の中へ入り込んで、襟首から顔を出してうたた寝していた。こうしてみるとそれぞれ特徴がある。
受難もある。
ピーコ一世は下駄で踏まれて、頭皮が剥がれて禿げになった。剥けた皮が左目を塞いだ。半年後もう左目は見えないと思っていたら、微かに左目の筋肉が動くので、ハサミで塞いでいる頭皮を切っていくと、なんとクリクリした目が動いていた。あの時は感動したね。泣けてきた。
ピーコ二世は洗濯機に放り込まれた。あわや(泡や、ではないよ)水死するところであった。
ピーコ三世は水洗トイレに流され、あやうくウンコになるところであった。
ピーコ四世は脱走したが、私の行きつけの酒屋で確保され、酒の請求書とともに帰還した。
糞はいたるところで見境いがない。仕方がないので我慢している。私の布団にウンコが乗っている。おかしいなと思ったら、肩に付いたウンコを私が運んだだけだ。
喋る方は、
●住所番地と名前と年齢。先日三歳から四歳になったので、それを教えたはいいが、時々間違える。無理もない。
●お父さんは自転車、ピーコは留守番、お母さんはお使い。ピーコ4歳で~す。ハ~イ。
●お帰りなさい。
●ただいま。
後は何をしゃべっているのかは不明だが、面白いのは「お父さんは留守番、ピーコはお買いもの、お母さんは4歳」とやっている。
時々だが、「ピーコは自転車」とか、「ピーコお買いもの」と言うから、とうとう自転車に乗って買いものに行くようになったか。よく考えると、「おとうさん」「ピーコ」「おかあさん」と「お買いもの」「自転車」「お留守番」の主語と述語が入れ変わるから面白い。理解しているように思えてしまう。
うっかり銀行の暗証番号なんかコイツの前では話せない。
「ワ~イ、3億円が当たった、どうしよう」とか「お宝はタタミの下じゃ」「この印籠が目に入らぬかっ」「尾張屋お主も悪よの~っ」「焼き鳥は鳥一へどうぞ」「手羽先は風来坊がうまい」とか、教え込んでやろうかなァ。結構長生きするから。今までで14年というのが最高齢だから。ウン?ワシの寿命といい勝負だがやァ。
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