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2013年11月16日 (土)

刺青の老化はミジメ

もう寒くなったから、刺青を見なくなった。もろ肌を脱ぐくような季節ではない。

もうずいぶん前だが、私の取引先の従業員がいつも手首に包帯を巻いていた人がいた。偶然この人が通っている床屋さんが私のお客さんで、手首に刺青をしていると聞いた。なんでもある女性に惚れ込んで、追い掛け回してやっと結婚して、改心して会社員になった。この時になって初めて、手首の刺青が邪魔になってきた。それから年中手首に包帯を巻いて隠していた。ところがどういう事情かは知らないが、自殺して亡くなった。手首の包帯は若気の至りをくやんでいたんだ。

もう一件、朝ラジオ体操に来る私より年上の方が、暑い夏にかかわらず、長袖のシャツを着Photo
ている。シャツは汗で濡れて肌が見えてくる。そこにはクッキリと背中に掘り物があった。彼も若気に至りで刺青をしたが、恥ずかしさでシャツを着ているが、誰もが刺青を知っているから近づかない。自分で蒔いた種と言えばそれまでだが、自分で自分の世間を狭くしてしまった。

こういう刺青は銭湯や温泉にも行けない。近所付き合いも当然誰も寄り付かなくなるから、孤独になる。

背中の昇龍は今、やせ細ったドジョウぐらいにしか見えない。いきがって誰からも見える手首の「○○命」と入れた刺青は、永遠に包帯の下だ。

やるならコンビニでも売っている、季節用品の刺青型のシールぐらいにしておいたほうがいい。

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