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2015年12月17日 (木)

目張り寿司の思い出

南紀・熊野地方の山仕事や農作業で食べる弁当としてはじまったと伝えられ、現在でも一般家庭でつくられている。本来は酢飯ではない麦飯でソフトボール大に握ったと伝えられるおにぎりを高菜で包みこんで作る。多忙な仕事の合間に簡便に食事を済ますため目を見張るほどの大きさだったといわれている。目張り寿司という名称は、大きさやうまさから「目を張るように口を開ける」「目を見張るほどおいしい」に由来するという説、あるいは、おにぎりに目張りするよう完全に包み込むことに由来するという説もある。

今読んでいる椎名誠著の『海風魚旅』の中には、子どもの頭ほどあると書いてある。こんな大きくては、目を見張らなくては食べられない。これを「目張り寿司」と呼ばれていたことを初めて知った。

私が知ったのは、子どものげん骨より小柄で、細かく刻んだ高菜をご飯にかき混ぜて、大きな高菜の葉で包み込み、酒を飲みながら、一個が二口ほどで食べられた。馳走してくださったのは、会社の集金専門の係りの方だった。

トヨタ系の販売店に就職して、経理に配属された。ここは70人ぐらいのトラック専門修理工場で、集金はとても経理だけでは済まされない。だからここには専門の「必殺集金人集団」が5人配属されていた。

御年定年後の方々で、とても老人とは言えない弁舌さわやかな武骨な強者であった。私は彼らの集金をチェックして、帳簿につける係であった。どういう訳か良く可愛がられ、その中の一人が熊野出身のMさんであった。昭和36年~41年当時の話で、彼は熊野で木こりをやっていて、転職して名古屋郊外の師勝に住み込んだ。Mさんの家に招かれた時の話だ。Photo

あばら家で3畳間と4畳半二間に小さなキッチンがあただけの、わびしい独り住まいだった。いきなり酒一升をドンと畳の上に置き、「待ってろ」といってキッチンに消えたら、この「目張る寿司」が皿に乗って出てきた。少し塩気があり、酒がどんどん進んだ。

今でも高菜漬けを見ると、できるだけ葉の大きなものを買ってきて、ご飯を包んでは思い出している。ハイキングにも遠足にもいいぞ、一度お試しあれ。

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