競輪選手は歩けない、これはある整体医院の広告から。
――競輪の選手は脚の筋肉を鍛えているので、太もものあたりは筋肉モリモリ、その太さは普通の人の胴くらいあります。毎日何時間も自転車をこいで練習をしていましたが、あまり歩いていませんでした。自転車をこぐ能力は異常に強くなっているのに、より基本的な歩く能力が常人以下にまで落ちていたのです。
人間の身体は自転車に乗るようになっているのではなくて、歩くようにできています。基本的な筋肉のバランスがとれた上でないと、せっかくのスポーツも腰痛などの副作用が出てきてしまいます。――
徹子の部屋で、ゲストにバレボール日本代表の益子直美さんと元自転車プロロードレーサーの山本雅道さん夫妻が登場した時の話だ。
実はこの話を友人から聞いて、下記のことをホームページを探し当てて知った。
――番組で益子さんが山本さんを取材したのが知り合ったきっかけという二人。お互い一目ぼれだったことを明かす。また、付き合い始めたころ一緒に散歩をしていて、益子さんが山本さんに対し「なんだ、この人」と不思議に思ったという――
全く歩けない人だったらしい。
競輪選手は自転車を漕ぐ筋肉がものすごくあるのに、歩く筋肉が付いていないらしい。
私が頚椎と脊椎を手術した。特に腰部脊柱管狭窄症で脊椎の5本あるうちの4本を手術をした。その時の医療行為の説明書にこうある。
「腰の神経(馬尾)が周辺から圧迫を受けています。圧迫の原因を取り除きます。片側の椎弓を切除し、主原因である黄色靭帯を両側切除します。椎間関節の一部も切除することがあります。以上の操作で狭窄した脊柱管は広がります。馬尾に回復力が残っている場合は、症状の改善も期待できます」
上記の手術で靭帯を取っている。しかもチタンで固定をすることは止めた。実は頸椎にはすでにチタンで4本を固定しているからだ。だから、いつ腰がグラグラになるかもしれないという不安があり、代わりの筋肉、腸腰筋を鍛えるためにマウンテンバイクに乗り始めた。腸腰筋とは腹筋の下に隠れている腰椎と大腿骨を結んでいる筋肉である。これを鍛えれば靭帯の代わりを作るという方法を、自己流に取り入れた。
以来マウンテンバイクで走り込んでいるうちに、短時間で移動できるマウンテンバイクにはまりすぎて、歩く筋肉を落としてしまった。元々鈍足ランナーだが走っていた。
それを意識したのは、床を裸足で歩くと、踵の骨が当たるような不自然さを感じた。それはペッタンコの靴で、コンクリートの上を走っているようで、クッションがまるでなくなっているのである。これに驚いて、心を入れ替えて歩き始めた。人間は歩くのが基本だ。そしてノルディックポールでグイグイと身体を前に押し進めて歩き、歩く筋肉を鍛え始めた。毎日3~7km、一週間に1~2度10km歩いている。
ヨチヨチ歩きの競輪選手になりたくないからだ。もうランナーには戻れないが、人並みに歩きたいからだ。現在、痛み止めも飲まず、コルセットもせず、11月21日に小牧山往復24km完歩できた。
術後を恐れるな!ジッとしていたら筋肉はどんどん衰える。どんどん動かすことで、神経経路が復活する。脳は再生する機能を持っている。以前こんなブログを書いた。
――人間には再生能力があると思っている。トカゲではないが、切れた尻尾が生えてくるようなことはできませんが。確か歌手の円広志さんの息子さんが、脳の半分の機能を失ったが、まったく不自然さを感じないほどの快復をされているテレビを見た。脳の中で機能を失った脳を、反対側の脳が盛んにバイパスを作ることが分かってきた。――
これなんです、絶対にあきらめないことです。病魔に襲われて、体を不自由にした友人に毎回言ってることだが、あきらめないで、無理しないで無理して下さいと。恥ずかしがることはない、ゆっくり動くことで、見る世界がまた違うことを感じてください。これは障害者を書いた灰谷健次郎の本に切々を書かれてある。
私の場合、マウンテンバイクより鈍足ランナー、それよりウォーキングの方がより見る世界が肌身に実感できますから。一度車から降りてみませんか、あなたの世界が変わりますから。もう一度言います、無理しないで無理してください。